子宮の腫瘍
子宮の腫瘍
子宮にはさまざまな腫瘍ができます。良性の腫瘍である子宮筋腫や、悪性腫瘍である子宮頸がんや子宮体がんなどが挙げられます。子宮筋腫は良性の腫瘍で頻度も高い腫瘍ですが、時に女性の生活に大きく影響します。子宮頸がんや子宮体がんは放置すれば生命にかかわる病気ですが、早期発見して治療ができます。前向きにかかわることで、生活の質を保つことができます。
子宮筋由来の良性の腫瘍です。婦人科腫瘍の中では最も頻度が高く、顕微鏡的なものも含めると77%の女性に子宮筋腫が認められるとの報告があります。初経後からエストロゲンの影響で発育しますが、詳細な原因は不明です。閉経前は増大の可能性がありますが、閉経するとエストロゲンの減少により増大が止まります。
子宮筋腫はできた部位によって3つに分けられます。子宮内腔に飛び出すようにできる粘膜下筋腫、子宮の筋層内にできる筋層内筋腫、子宮の表面にできる漿膜下筋腫です。
過多月経
大きさに関わらず症状が出やすいのは粘膜下筋腫です。子宮内腔を変形させて内腔の面積が広くなり月経時の出血が増えます。月経量が多すぎて漏れてしまう、レバーのような塊が出る、健康診断で貧血と言われた、などは過多月経の可能性があります。粘膜下筋腫は原因の一つとなります。筋層内筋腫はあまり症状が出ないこともありますが、大きくなると内腔を変形させて過多月経になることがあります。
圧迫感・頻尿・便秘
大きい場合や、複数個ある場合は子宮全体のサイズが大きくなり、周辺臓器を圧迫して頻尿や便秘、腹部の圧迫感の原因となることがあります。漿膜下筋腫は最も症状が出づらい部位ですが、大きさによっては周辺臓器を圧迫して頻尿や便秘、腹部圧迫感の原因となります。
貧血の改善
過多月経や貧血に対しては、止血剤や鉄剤の投与で貧血を改善します。同時に月経量の減少を目的として低用量ピルやディナゲスト、ミレーナなどを用いることがあります。貧血の改善が目的であり、筋腫の縮小や増大を止めるといった効果はありません。
偽閉経療法
GnRHアゴニスト(リュープリン)、GnRHアンタゴニスト(レルミナ)のような閉経のように卵巣機能を低下させる薬は子宮筋腫の縮小が期待できます。副作用として更年期のようなホットフラッシュや発汗、気分の落ち込みなどがあります。また長期間継続すると骨量が低下して骨粗しょう症になりやすくなるので、半年程度を目安として使用します。閉経間近の方が症状を抑えて閉経を待つ間に使用する、手術前に筋腫を縮小させる、低用量ピルやジエノゲストなどの薬物療法がスムーズにできない方に一時的に使用して今後の治療をスムーズに行えるようにするなど、さまざまな場面で使われます。
手術
上記の治療で症状が改善しない、治療の継続が困難、不妊の原因となっている、または圧迫感や腹痛がある場合は手術の対象となります。手術は大きく分けると3つに分けられます。
子宮鏡(細いカメラと手術操作ができる器具)で腟から子宮の中にアプローチして、粘膜下筋腫のみを切除します。粘膜下筋腫による過多月経や不妊症の方に適応となります。体の負担が少ない方法ですができない場合があります。
子宮筋腫のみを摘出します。子宮を温存できることがメリットですが、デメリットとして手術中の出血量が増える、再発のリスクがあげられます。今後の妊娠を希望する方へ行われる手術です。
子宮を全部摘出する手術です。卵巣に異常がない限り温存しますので、ホルモン的には術前と同じ状態となります。メリットとしては再発のリスクがない、手術中の出血量が比較的少ないことがあげられます。デメリットとしては今後妊娠できないことが挙げられます。
子宮筋腫核出術と子宮全摘術は腹腔鏡下でも開腹下でも行われます。腹腔鏡下での手術は創部が小さく体の負担が少ないことがメリットですが、子宮筋腫や腹腔内の状態によっては安全に手術ができないので開腹での手術となります。手術をする病院で慎重に検討して決定します。
子宮筋層内に子宮内膜症によく似た組織が発生し、子宮筋層が厚くなります。子宮内膜症と同様の月経痛や月経以外の腹痛、性交時痛、不妊症などの原因となることに加え、過多月経となり貧血の原因となります。子宮内膜症と同様に原因はまだわかっていませんが、エストロゲンの影響で増悪します。
月経量を減らす
低用量ピルやジエノゲスト、ミレーナで月経量を減らして痛みを軽減します。一時的に偽閉経療法を使用して腺筋症を縮小させて症状を軽快させることがあります。
手術
場合によっては卵巣の切除を行うことがあります。子宮を摘出して過多月経や貧血、月経困難症を改善させます。
子宮の悪性の腫瘍には子宮頸部にできる子宮頸がん、子宮の内膜にできる子宮体がんがあります。
95%が性交渉で感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)が原因と言われています。初交後であれば若年でも発症のリスクがあります。
初期は無症状のことが多いですが、病気が進むと帯下の増加、帯下のにおい、不正出血、性交時の出血などが出現します。早期であれば、子宮を温存することができますが、進行すると子宮を温存することが難しくなります。妊娠の希望があっても子宮を摘出しなければならないこともあり、その後は妊娠できません。予防をして、早期発見する。この2段構えで子宮を温存することが非常に重要です。
子宮頸部細胞診
子宮頸部を擦って細胞を採取し、異形成がないか確認します。
HPV検査
子宮頸がんの原因となるハイリスクHPVの有無を確認します。子宮頸部細胞診でASC-USを認めたときに行われます。また一部の検診施設でHPV検査と頸部細胞診を同時に行っていることがあります。
コルポスコピー下
狙い生検
子宮頸部を拡大して観察し、異常所見がある部位を切除して検査します。
子宮頸部円錐切除術
子宮頸部を円錐状に切除して病変を切除します。子宮頸部高度異形成や上皮内がんの状態であれば、治療はいったん終了となります。それ以上進行している場合は、CTやMRIで病変の進行度や他臓器への転移を検査し、病気の進行度を推定します。子宮全摘術や広汎子宮全摘術、放射線療法など、病期によって治療が決まります。当院ではコルポスコピー下生検で高度異形成以上を確認した場合は高次医療施設へご紹介しています。
子宮の内膜にできる悪性腫瘍です。好発年齢は50代で、患者の75%は閉経後の方です。一方40歳未満の患者も5%程度認めます。糖尿病や高血圧、肥満を合併することが多いです。子宮頸がんのような定期的な検診は勧められていませんが、不正出血や超音波での子宮内膜の肥厚を認めたときは、検査が勧められます。
子宮内膜の細胞を採取する子宮内膜細胞診、子宮内膜の組織を採取する子宮内膜組織診を行います。偽陰性を認めることがあるので、強く子宮体がんを疑う場合は繰り返しての検査が勧められます。当院では細胞診や組織検査で子宮体がんを疑った場合は高次医療施設へご紹介いたします。
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